さしゃる

さしゃる
I
さしゃる
(助動)
〔「させらる」の転。 近世上方語。 後期には江戸でも用いられたが, 江戸では「さっしゃる」の方が普通。 → さっしゃる〕
上一段・下一段・上二段・下二段活用の動詞の未然形に(江戸語ではカ行変格活用の連用形にも)接続する。 話し手が動作の主体に対して尊敬の意を表す。 お…なさる。 さっしゃる。

「一寸乗つてつい下り〈さしゃり〉ませ/歌舞伎・好色伝授」「今夜はお月様がよくさへ〈さしゃっ〉た/洒落本・郭中奇譚」

〔活用は, 初め下二段活用型(さしゃれ・さしゃれ・さしゃる・さしゃるる・さしゃるれ・さしゃれ)であったが, のち, 四段活用型(さしゃら・さしゃり・さしゃる・さしゃる・さしゃれ・さしゃれ)にも活用し, 両活用混在の型になった〕
しゃる(助動)
II
さしゃる
(動ラ特活)
〔サ変動詞「する」に助動詞「さしゃる」が付いた「せさしゃる」の転。 近世上方語〕
「する」の意の尊敬語。 なさる。 せられる。 さっしゃる。

「なんと~・れましたぞ/狂言記・緡縄」「月夜で風のふかぬ時隙じやさかいに夜番~・りますか/浮世草子・一代女2」

〔活用は助動詞「さしゃる」に同じで, 下二段・四段両活用混在の特別活用である〕
III
さしゃる
(動ラ特活)
〔動詞「さす(さする)」の連用形「させ」に助動詞「やる」が付いた「させやる」の転〕
「させる」の意。 同等またはそれに近い下位の者からさせられるときにいう。 させる。

「由兵衛のいき畜生, 文言しれぬ手形によふ判を~・つたのう/浄瑠璃・今宮心中(中)」

〔活用は「さしゃら・さしゃり(さしゃっ)・さしゃる・さしゃる・さしゃれ・さしゃれ(さしゃ)」〕

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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